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みんな知っている、あの物語

f:id:kuromekawa28:20150813100759j:plain角川文庫版

 「不思議の国のアリスルイス・キャロル原作のこの物語、映画にもなりました。

姉と2人で土手に座っているアリス、<アリスは、なんだかとってもつまらなくなってきました>という書き出しです。<暑い日だったので、すごく眠たくて>ぼうっとしていたら、白ウサギの姿が目に入った。

 

 トランプの女王の法廷に立たされ「あなたたちみんな、ただのトランプじゃないの!」と叫ぶアリス、その瞬間、すべてのトランプが空中に舞い上がる。

<きゃっとさけんでトランプをはらいのけようとした>ところ、<ふと気がついてみると川べりでお姉さんのひざまくらで寝ているのでした>。姉はアリスの顔にかかった枯れ葉をはらいのけてやるのでした。

 

 目の前の退屈な現実が目を閉じれば不思議な国に変わる。ウサギの通り過ぎる音は草のざわめき、茶会でティーカップが鳴る音はヒツジの首についた鈴、女王の叫び声は羊飼いの少年の声などなど、トランプが枯れ葉だったのと同じなのです。

 

 妹は将来どんな大人になるだろうと姉は考える。自分の子どもたちに不思議の国での体験を話して聞かせるかもしれない。<子どもたちの無邪気な喜びや悲しみに一喜一憂しながら、きっと思い出すことでしょう。自分自身の子ども時代を、そしてあの幸せな夏の日々を>物語の秘密を握る姉の存在、でもなぜ母ではなく姉なのか?

 

 アリスの母は怖い人だったとか、その母親像はあの理不尽なトランプの女王だったのかもしれない。