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もうひとつの童話はこうなっている

f:id:kuromekawa28:20160103170914j:plain岩波文庫

 童話の「赤ずきん」といえば、誰でも知っているおとぎ話だが二つのバージョンがあるとは知らなかった人も多いのではないだろうか。それはペローとグリム兄弟のもので、その結末はまるで逆なのだ。

 

猟師がオオカミの腹を割き、赤ずきんとおばあさんを助け出すのがグリム版、ペロー版は赤ずきんはオオカミに食べられてしまうのだ。もうひとつ、「サンドリヨン」というペロー版、グリム版では「灰かぶり」といい英語読みでは「シンデレラ」という物語、これもよく知られている。妖精が魔法の力でカボチャを馬車に、ネズミを御者の姿に変えてシンデレラを美しく変身させて舞踏会に送り出す。これがよく知られた内容で、ペロー版なのだ。グリム版は、シンデレラは鳥に衣装をねだって舞踏会に行く。

 

結末は、片方だけ残されたガラスの靴、グリム版ではこれが金の靴、を頼りに王子がシンデレラを探し当て妃に迎える。対照的なのはその前後だ。グリム版では二人の姉が母に渡された包丁でつま先やかかとを切り落として靴をはく。「血が靴にたまってる。靴が小さすぎるのさ」と騒ぐ鳥、しかも鳥は姉たちの目玉までつつき出してしまう。

ところがペロー版は<サンドリヨンは、美しいのと同じくらいに、気だてのよい娘でしたから、二人の姉も宮殿に住むようにはからい、それから自分と同じ日に、宮廷の立派な貴族二人と結婚させてあげたのです>とある。

 

ペローの童話は最後に「教訓」がつく。美しさは希少な宝物だが<品の良さというものは、それにもまして、はかり知れぬ価値がある>という訳だ。