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一歩間違えると、大変な世の中だ

f:id:kuromekawa28:20160706194620j:plain角川文庫版

オーウェル作「動物農場」は、旧ソ連スターリン時代の独裁者を寓話風に批判した20世紀版イソップ物語である。

 

<荘園農場のジョーンズ氏は、夜、鶏小屋の戸締りをしたが、すっかり酔っ払っていたので、つい、くぐり戸を閉め忘れてしまった>。これが動物たちの革命の始まりである。虐げられた動物たちは農場から人間を追い出すことに成功して、自らの手で農場を運営する権利を奪う。農場の名は「動物農場」と改め、理想的な未来へ向けて動き出すはずだった。

 

ところがリーダー格の2頭のオス豚の路線が対立、権力闘争に敗れた1頭が追放されてから事態は悪化してゆく。特権階級と化した豚(政治家?)、その手下となった犬(官僚?)、牛、馬、羊、山羊、鶏ら(民衆?)、その地下層の動物や鳥たちは独裁者の下で過酷な労働を強いられるが、次第にそれにも慣らされていく。

 

ラストはどこかの国を連想させる。気がつけば革命の理念は書き換えられ、豚たちはかって追い出したはずの人間とトランプゲームに興じているではないか<屋外の動物たちは、豚から人間へ、また、人間から豚へ目を移し、もう一度、豚から人間へ目を移した。しかし、もう、どちらがどちらか、さっぱり見分けがつかなくなっていたのだった>。この物語が教訓的なのは発電用の風車がモメゴトの焦点になっている点である。

風車さえ建設すれば幸福になれると信じる動物たちは、気の毒なのか愚かなのか、支配者の狡猾さもさることながら、被支配者の従順ぶりが凄まじい。

 

新大統領の誕生に熱狂したどこかの国、政権交代に沸いたどこかの国、各々方決して油断免さるなよ!