2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

旅行記として秀逸な記録を見て

中公文庫版 武田百合子作のこの目を惹く題名の下にあるロシア旅行、これがこの本の内容のようです。それも、「昭和44年6月10日 晴」という書き出しで始まっているので、旧ソ連への旅行です。 <横浜大桟橋に九時十五分前に着く。/ ハバロフスク号は真白い船…

今こそ眼を向ける必要がありゃせぬか

講談社学術文庫版 副題は「地球志向の比較学」と言うそうだが、この鶴見和子作の「南方熊楠」という本は1990年代のはじめ頃には出版界で一大ブームを引き起こした。 南方熊楠といえば、植物学にも民俗学にも通じ、粘菌の研究などで知られる人物、19歳で渡米…