2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

世の男たちに告ぐ警告を読んで見たら

新潮文庫版 日本近代文学の祖ともいわれている二葉亭四迷の「浮雲」は、初の言文一致体の小説とされる。 小説は<千早振る神無月ももはや跡二日の余波(なごり)となった二十八日の午後三時頃に、神田見附の内より、塗渡る蟻、散る蜘蛛の子とうようよぞよぞ…

舞台や映画で有名な悲恋の物語

新潮文庫版 「切れるの別れるのって、そんなことはね、芸者のときにいうものよ」というセリフ、聞いた人は多いかも知れない。ご存知、泉鏡花作の「婦系図」の一節、元芸者のお蔦が湯島天神で言うセリフである。 主人公の早瀬主税は恩師の酒井俊蔵の下でドイ…

みんな知っている、あの物語

角川文庫版 「不思議の国のアリス」ルイス・キャロル原作のこの物語、映画にもなりました。 姉と2人で土手に座っているアリス、<アリスは、なんだかとってもつまらなくなってきました>という書き出しです。<暑い日だったので、すごく眠たくて>ぼうっとし…

人生はいつでも自由でありたい

新潮文庫版 <はじめてチャールズ・ストリックランドを知ったとき、僕は、正直に言って、彼が常人と異なった人間だなどという印象は、少しも受けなかった。だが、今日では彼の偉大さを否定する人間は、おそらくいまい>という書き出し、小説はストリックラン…

画家が書いた絵ではない滞在記

ちくま学芸文庫版 ポール・ゴーギャンといえば、あの画家かと知っている人は多いはずだが、このような滞在記を書いていると知っている人はいないはずだ。彼は1891年6月から93年6月までタヒチに滞在し、約50点の絵画を制作した。その経験を綴ったのがこの滞在…