2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧
新潮文庫版 ゾラの代表作「居酒屋」は、日本の自然主義ともいえる人間の姿を写実的に描いたものである。 主人公のジェルヴェーズは22歳、8歳と4歳の息子の母、洗濯女で生計を立てていたが、内縁の夫のランチェが失踪してブリキ職人のクーポーと結婚する。ま…
新潮文庫版 舞台は知床、一見すると紀行文のようにも思える書き出しだが、読み進むうちにとんでもない方向へと行く奇妙な不気味さを含んだ作品である。 <私が羅臼を訪れたのは、散り残ったはまなしの紅い花弁と、つやつやと輝く紅いその実の一緒にながめら…
岩波文庫版 童話の「赤ずきん」といえば、誰でも知っているおとぎ話だが二つのバージョンがあるとは知らなかった人も多いのではないだろうか。それはペローとグリム兄弟のもので、その結末はまるで逆なのだ。 猟師がオオカミの腹を割き、赤ずきんとおばあさ…